日本では「ピル」の普及が遅れてるって本当?
●日本におけるピルの立ち位置
「低用量ピル」と言えば、経口薬であり、手軽な方法で確実に避妊することができる医薬品として知られています。
しかし、日本においてはこれらピルの存在は、諸外国に比べて普及が遅れているという側面があります。
ヨーロッパ諸国では30%前後の使用率があり、米国でも16%の使用率が認められています。
対して日本での使用率はわずか1%にしか満たないのです。諸外国の平均使用率が高い中で、日本のピルの使用率は最低水準であると言えます。
しかし、それにはれっきとした理由があるのです。日本において低用量ピルの承認が行われたのは、1999年と実に最近の話なのです。
これは米国に比べて実に25年も遅れているのです。
ちなみにこれは、国連加盟国の中では最も遅いタイミングだということもあり、ピルの普及が遅れているのです。
●ピルの承認が遅れた理由
経口摂取だけで確実に避妊ができるピルが、どうして日本では承認が遅れたのでしょうか。
まず理由としては、ピルの臨床試験に9年という長い時間がかかったことです。
もう一つ、ピルの承認の時期に日本で社会的な問題として取り上げられていた内容として「エイズ」があります。エイズとはHIVウイルスに感染することで発症する疾患です。
ピルは経口避妊薬であり、手軽に避妊ができます。
しかし、日本で避妊方法として知名度の高い「コンドーム」に比べて、装着の手間はかかるものの「性感染症の感染予防」というアドバンテージにおいて、ピルは劣るのです。
エイズもまた性感染症の一つであり、これを予防できないピルは時事的にミスマッチだったのです。
●ピルは医師の処方が必要
日本におけるピルの普及が遅れていることには、他にも理由があります。その理由というのが、ピルの入手方法です。
日本において薬の入手方法は、ドラッグストアや薬局で購入する方法と、病院で医師から処方される方法です。
日本におけるピルの入手方法は、医師からの処方に限定されています。ということはつまり、ピルを入手するためには医療機関を受診する必要があるのです。
好きなタイミングで購入できるドラッグストアや薬局での購入とは異なり、病院へ行かなければならないということは、それなりにハードルを高めることになるのです。
●個人輸入でピルを入手
先ほど、日本では医師の処方がなければピルを入手できないと述べましたが、厳密には他にも方法があります。
それが「個人輸入」です。
個人輸入の場合にはメリットも有り、まず医師の処方に比べて安価で購入することができます。
また、人工の妊娠中絶にかかる費用も削減でき、個人輸入に因る節約効果も合わせるとお金の面で大きなメリットを持つと言えます。
さらに、低用量ピルは中身の女性ホルモンの効果によって「月経困難症」や「月経前症候群」といった、生理に関わる症状の改善にも効果を及ぼす可能性があります。
ピルを用いる女性の中には、そうした副次的な効能を目的としてピルを入手するといったケースもあります。
ただし、医師の処方を介さない方法での入手となり、どうしても薬は人によって合う合わないがありますので、常に安全に使用できるというわけでもありません。
これには個人差がありますので、個人輸入のピルで体に合わない場合には一度産婦人科を受診することも必要になります。